薬膳のルール

 

薬膳○○と書いてあったり、生薬を使っていたり、クコの実が散らしてあるものが薬膳になるとは限りません。薬膳にはある決まりごとがあり、このルールに則ったものでないと普通の料理と変わらなくなってしまうのです。

 

薬膳の定義としては、まず中医学の理論に基づいたものでなければなりません。ここでいう中医学の理論とは、整体観念(せいたいかんねん)と弁証論治(べんしょうろうち)の2つの大きな柱があり、わかりやすくいうと、季節やココロとのバランスを取りながら(=整体観念)、体質や体調によって食材や調理法を考える=(弁証論治)ことです。

 

ちなみに、漢方薬や鍼灸などでは「弁証論治」といいますが、食の提案をする薬膳では「弁証施膳」(べんしょうせぜん)と呼んだりします。つまり、ベースの考え方は漢方も同じで、対処法がクスリになるか、食材になるかの違いなのですね。

 

また、医食同源という言葉があるように、クスリと食物はともに天然物で、同じような特性を持ち、治療効果があるなど互いに似たような意味合いがありますが、薬膳を用いるうえで忘れてはならないことがあります。それが“毎日続けられる、おいしい食事”であること。いくら薬効があっても、まずいものだと続きませんよね。食べやすいように加熱したり、味を整えておいしく味わうことがとても重要なのです。